【特別随筆】20年前の出来事
もう日付が変わって今日は8月13日。航空機事故の翌日、一つの会社が会社更生法を申請した。事故のその日、虚脱感に苛まれながら一人の若者は独身寮に帰って来た。やけ酒を飲む先輩の傍らで、密かに内定している会社への入社を思いとどまろうと馬鹿なことも考えていたように思う。翌日、会社に着くと大勢のカメラの列が待ち受けていたが、その中を顔を隠しながら駆け抜けて自分の机に座る。慌ただしくやってくる取引先、押し掛ける報道陣、引き上げる業者達。
世間は御巣鷹山の事故の報道が中心で、自分達のことなど取り上げている暇がなかったのが幸いしたが、報道各社はてんやわんやの大騒ぎだったのだろう。山一証券の自主廃業を見ていると当時はきっとそれ以上の騒ぎだったに違いない。
自分の役割を果たしながら、真っ先に辞めて行く後ろめたさ。やり残したことの大きさ、そして、自分が夢に描いていた業種からの別離。あの頃から、何かをやり通すということができなくなったような気がする。結局、最後まで付き合うという決心がつかなかった。そして、未だに、当時を懐かしむ。
その会社は13年の歳月をかけて復活を成し遂げる。当時の人はほとんど残っていないだろうが、会社としては着実に大きくなって来ていた。そこに戻ることも許されない。そこに足を踏み入れることも躊躇される。時折、当時通勤していたビルの前を通るのだが、必ず思い出す事がある。
そこには夢とロマンがあったのだと。そして、当時やり残したことの多くを取り返すことは不可能なことだったということを。歳月はあまりにも非情である。だが、それを選んだのは自分なのだから、いつまでも懐かしんでばかりはいられないのである。
夢とロマンと未知との出会い。でも、いつまでも追い求めてみたい。そして、18年と1週間後、2度目の経験をすることになるのである。今度は、無念さが残る出来事となったのであった。続く。

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